エンジン1
AW11 MR2 エンジンオーバーホール

ミッションや、その他パーツを外して、エンジンを車両から取外します。
ミッドシップは作業性が悪いため、FRやFFに比べて手間がかかります。

取外したスパークプラグ。
プラグ先端の電極は消耗し減っていて、エンジンオイルが大量に付着していました。
プラグ側面には、錆が発生し広がっている状態でした。
かなり長い期間、スパークプラグを交換してなかったようです。

取外したシリンダヘッド。
1番の燃焼室にはエンジンオイルの付着が特に多かったので、バルブステムシールからのオイル下がり、または、ピストンリングからのオイル上がりが発生していたようです。
また、エキゾーストバルブの表面には、白く焼けたすすがこびり付いていました。 フューエルフィルターの詰まりや、フューエルポンプの能力低下などが原因で、燃料が薄い状態で走行していたようです。

1番ピストンのバルブリセス部分には、燃焼室に入ってきたエンジンオイルが溜っている状態でした。
また、ヘッドガスケットの腐食が進んでいて、錆とガスケットのカスが冷却水の通る水穴を塞いでしまっていました。

オイルパンを取外すと、オイルストレーナー表面には汚れが付着し、堆積していました。
これだけの汚れが詰まっている状態だと、オイルパンからくみ上げるオイル量が減ってしまい、メタルトラブルなど、異音の原因になりかねません。

シリンダヘッドに堆積していた汚れと、バルブに付着したカーボンスラッジをきれいに洗浄して、バルブの摺り合せをおこないます。
また、ヘッドの歪み量は基準値内におさまっていましたが、ヘッドガスケットの破損による細かいキズが残ってしまっていたので、ヘッド面研を行うことにしました。

バルブコンパウンドをきれいに洗浄して、バルブを取付けます。
この状態で、30分ほど放置し、液がもれてこなければ、バルブとシートリングがしっかりと当たり密着していますので、バルブからの圧縮漏れを防ぐ事ができます。

オイルポンプを分解して洗浄します。
洗浄後は、トロコイドへエンジンオイルをたっぷりと塗りつけてから組付けます。
また、高回転での油圧低下を防ぐため、リリーフバルブのピストンにはシムを入れておきました。

クランクシャフトのリヤシールを新品に交換。
ここのオイルシールからエンジンオイルが漏れてくると、ミッションのクラッチハウジング内に、漏れたオイルが溜ってきますので、フライホイルやクラッチに漏れたオイルが付着すると、クラッチが滑る原因となってしまいます。

クランクシャフトのリヤリテーナーを新品ガスケットを介して取付けます。
この時点で、クランクシャフトを回転させてみて、オイルシールに不具合などがないことや、クランクシャフトがスムーズに回る事を確認します。

エンジンブロックのデッキ面に付着したオイルをきれいに脱脂してから、メタルヘッドガスケットをセットし、シリンダヘッドをのせる準備をします。
リフト量の大きなカムシャフトを組む場合などでは、各ピストンの位置をシリンダーの中央付近に揃えておくことで、カムシャフト組付時の、バルブとピストンの干渉を防止することができます。

ミッドシップのAW11では、作業性が悪いため、サーモスタットを交換するのも手間がかかってしまいます。
エンジンオーバーホールのついでに、サーモスタットやサーモハウジングにつながるウォーターホースなどは、全て新品に交換しました。

クランクスプロケットとカムスプロケットを組付けて、タイミングベルトを取り付けます。
タイミングベルトは強化品を使用しました。
ノーマルベルトでは、アクセルを踏み込んだ瞬間にベルトが伸びて、バルブタイミングが遅れてしまいます。
強化タイミングベルトでは、バルブタイミングの遅れが改善されるため、街乗りレベルでの加速でも体感できるほどの効果があります。

取外したエンジンマウントは、経年劣化のためゴムに亀裂が入っている状態でしたので、新品に交換する予定でしたが、純正エンジンマウントは生産中止で手に入らず、社外品も存在してないようでしたのでワンオフで製作しました。
マウントブラケットは純正品を再使用するため、純正マウントを抜き取ります。

エンジンオイル ミッションオイル LLCを規定量補充して、クランキングし、エンジンを始動。
オーバーホール後のエンジン始動では、ピストン組付時にシリンダーへ塗りつけたエンジンオイルが、燃焼して白煙がでてきます。
水温が上昇するまでエンジンをアイドリングさせ、サーモスタットが開いて、電動ファンが回るまでは冷却水のエア抜きをおこないます。